VR歩行デバイスとは
仕組み・種類・活用分野を、業界の全体像から解説します
VR歩行デバイスは、VR空間内を自分の足で歩いて移動できるハードウェアの総称です。
従来のコントローラー操作では得られない身体的な没入感を実現し、
ゲーム・研究・訓練・介護福祉など幅広い分野で活用が広がっています。
VR歩行デバイスとは何か
VR歩行デバイス(英語: Omnidirectional Treadmill / ODT)とは、VRヘッドセットと組み合わせて使う歩行専用のハードウェアです。利用者が実際に足を動かすと、その動きがVR空間内の移動に反映されます。
コントローラーのスティック操作ではなく、自分の身体を使って歩く・走る・しゃがむといった動作でVR空間を探索できるため、従来のVR体験とは根本的に異なる没入感を実現します。
1990年代に大学の研究室で始まった技術が、2013年以降に商用化され、現在は世界中の研究機関・企業・アーケード施設・個人ユーザーに広がっています。
従来のVR移動が抱える3つの課題
VR酔い
コントローラーで視点が動くのに身体は静止。この感覚のずれがVR酔いの一因とされる
自分の足で歩くため、視覚の移動と身体の感覚のずれが生じにくい。感じ方には個人差がある
没入感の限界
指先のスティック操作では「その場にいる」感覚が薄い。身体が動いていないことで脳が現実との差を認識してしまう
身体全体を使った移動で、脳が「本当にその場にいる」と認識する深い没入体験
移動範囲の制約
ルームスケールVRは部屋の広さに制限される。壁にぶつかる危険もある
設置の目安(全機種共通で1台2.0m×2.0m以上)の中で、VR空間を歩き続けられる
VR歩行デバイスの仕組みと種類
VR歩行デバイスは技術的なアプローチによって大きく4つの方式に分類されます。
それぞれ仕組み・価格帯・歩行感覚が異なります。
低摩擦プレート型
凹型の低摩擦プレート上で、専用シューズを履いて足を滑らせるように動かす受動式。モーター不要でシンプルな構造。静音性が高くメンテナンスも容易。現在市場に流通するVR歩行デバイスの大半がこの方式を採用しています。
ジャイロセンサー方式(足踏み型)
装着型のジャイロ/フットセンサーで足の動きを直接検知する能動式。実際にその場で足を上げて踏み出す自然な歩行動作がそのままVR空間に反映されます。専用シューズ不要・遅延10ms以下の高精度トラッキングが特徴で、ハイエンドの業務・研究用途で採用されています。
電動ベルト型
直交する2本のベルトコンベアがユーザーの移動を打ち消す方向に動く能動式。足裏が地面を蹴る感覚に近く、最も自然な歩行感を実現できるが、大型で高価。商用化は限定的。
リダイレクテッドウォーキング(RDW)
VR映像を微妙に回転させることで、狭い空間でも広い空間を歩いているように錯覚させるソフトウェア技術。ハードウェア不要だが広い部屋が必要。現在は大学の研究レベルが中心。
現在、商用製品として流通しているのは低摩擦プレート型が大半。最新世代のハイエンド機ではジャイロセンサー方式が採用されています。
VR歩行デバイスのメリットとデメリット
VR歩行デバイスは、自分の足で歩いてVR空間を移動できる道具です。その一方で、導入の前に確かめておきたい点が3つあります。置く場所、使う人との相性(VR酔い・体格)、そして費用です。置く場所と体格は、設置の目安・体格の条件と個別のご案内で、導入の前に確かめられます。VR酔いは、法人・機関のお客様なら導入前に Mecha の実機で確かめられます(事前予約制)。法人向けの機種は、ご要望をうかがったうえでお見積もりします。
メリット
自分の足で移動できる
スティック操作ではなく、歩く・しゃがむといった体の動きで、VR空間の中を移動できます。
ご自分の足で歩いて移動する構造のため、視覚の移動と身体の感覚のずれが生じにくい設計です。
ゲーム以外でも使われている
VR歩行デバイスは「ゲーム専用」ではありません。研究・訓練・施設などで使われています。
使われている分野と数字は、このページの「数字で見る VR歩行デバイスの効果」「VR歩行デバイスの活用分野」で紹介しています。
研究に合わせたソフトを作れる
Unity と Unreal Engine 向けの SDK(開発キット)を無償で提供しています。
移動の速さや身体の向きを、実験用のソフトに取り込めます。歩数は C2系の拡張項目で、Mecha では取れません。
デメリットと、その補い方
置く場所が要る
本体だけでなく、体験する方が動く範囲も含めて床のスペースを確保する必要があります。
設置の目安は、全機種共通で1台2.0m×2.0m以上です(体験する方の動く範囲を含みます)。
電源は、Mecha では AC100〜240V に対応し、一般の100Vコンセントでご使用いただけます。
天井高は一般的な教室の高さでご利用いただけます。天井が低いお部屋の場合は個別にご相談ください。
VR酔い・体格に個人差がある
VR酔いの感じ方には個人差があります。使える身長にも範囲があります。
休憩を挟む運用をご案内しています。
推奨年齢は14〜60歳です(安全・運用上の推奨です)。身長の範囲は機種ごとに異なり(1.4mから)、上限を含めて機種のご提案時にご案内します。体重は130kg以下です。
C2系では身長が範囲の端に近いと、しゃがむ動作などで上下の動きがやや窮屈になる場合があります。
法人・機関のお客様は、導入の前に Mecha の実機で体験いただけます(事前予約制)。
費用がかかる
本体のほかに、VRヘッドセットが必要です。PC接続で使う構成では VR対応のPC、C2系を Meta Quest 単体で使う構成では KAT NEXUS と Wi-Fi 環境も必要です。法人向けの機種は、ご要望をうかがったうえでお見積もりします。
個人向けの機種を含む価格の幅は「よくある質問」に載せています。科研費・公的研究費でのご購入と検収払いは、下の「導入するときの流れ」でご案内しています。
数字で見る VR歩行デバイスの効果
研究と導入の現場から、VR歩行デバイスに関わる数字を紹介します。
内容への感情的なつながり
VRで学んだ受講者は、教室の受講者より学習内容への感情的なつながりを3.75倍強く感じた(PwC 2020)
PwC (2022)運動強度
VR歩行デバイス上のゲームプレイは高強度運動に相当。コントローラー操作の約3.5倍
Applied Sciences (2025)屋外歩行と同等
VR歩行デバイス上の消費カロリー(/min)は屋外歩行(5.8 kcal/min)と統計的に有意差なし
Green et al. (2024)査読付き論文
KATVR製品を使用した査読付き論文の数。査読付き19本を含む29本の研究で使用(当社集計・2026年10月/学位論文・学会発表・プレプリント等を含む)
KATVR JAPAN集計国内の法人・機関
大学・研究機関・企業など。うち教育・研究機関は74(当社集計・2026年8月時点・請求書等の社内記録に基づく)
KATVR JAPAN集計習熟率向上
繰り返しVR訓練による業務習熟率の向上。従来研修との比較
SBS東芝VR歩行デバイスの活用分野
VR歩行デバイスは「ゲーム専用」ではありません。
研究・教育・医療・エンターテインメントまで、活用分野は広がり続けています。
研究・開発
認知科学・バイオメカニクス・神経科学など。SDKで歩行データの取得・解析が可能。科研費での購入にも対応
詳しく見る安全訓練・教育
消防訓練・避難シミュレーション・特別支援教育。身体を使った体験が定着率3.75倍の学びを生む
詳しく見るVRアーケード・施設
来場者が自分の足で歩ける体験を提供できます。設置の目安は機種ごとにご案内します
詳しく見るVRフィットネス
屋外歩行と同等の消費カロリー。ゲームを楽しみながら有酸素運動ができる新しいフィットネス体験
詳しく見る採用・イベント
展示会ブースの目玉に。KATVR導入企業で新卒応募数187%UPの実績。レンタルプランも対応
詳しく見るKATVRが選ばれる理由
2013年の創業以来、歩行型VR専業メーカーとして
技術開発と導入実績を積み重ねてきたKATVR。
日本国内ではKATVR JAPANが2018年から取り扱いを始め、2019年に総代理店契約を締結しました。
独自のハーネス構造
カウンターグラビティ機構を備えたハーネスシステムで、歩行・走行・しゃがみ・ジャンプに対応。ウエストリングのみの製品とは異なる安全設計です。
3層独立トラッキング
頭(HMD)・体(腰センサー)・足(光学フットセンサー)を独立して検出。前を見ながら横歩き、走りながら横の敵を狙撃、といった複雑な動作が可能です。
SteamVRのゲーム+無償SDK
SteamVR上でスティック移動に対応したゲームを、歩いて操作できます(PC接続時。タイトルにより設定が必要で、動作を保証するものではありません)。さらにUnity / Unreal Engine 向けの無償SDKで、研究や業務に合わせたオリジナルコンテンツの自作も可能です。
¥47,300から選べるラインナップ
エントリーモデルは¥47,300から。法人向けのフラッグシップ機は応相談で、用途と予算に合わせて選べます。個人向けの機種は分割払い、法人・研究機関のお客様は科研費・公的研究費でのご購入にも対応しています(制度が使えるかどうかは、ご所属の事務局のご判断です)。
よくある質問
法人・研究機関で導入するときの流れ
機種が決まっていない段階からご相談いただけます。当社では、次の流れでご案内します。イベントや展示会で短い期間だけ使う場合は、イベント・展示会向けのレンタルもご用意しています。
ご相談
法人窓口のフォームからご連絡ください。担当者が、用途に合う機種とプランをご提案します。法人・大学には、最上位機の KAT PRO WALK Mecha から順にご提案しています。
実機の体験
Mecha の実機は、東京・中野坂上のデモエリアと愛媛の松山本社でご体験いただけます(いずれも事前予約制・法人・機関のお客様向け)。オンラインでの実機デモにも対応しています。ほかの機種は在庫状況に応じて手配しますので、ご希望の機種と日程はお早めにお知らせください。
お見積もり・ご契約
機種と台数に合わせてお見積もりします。科研費・公的研究費でのご購入と、納品・検収後のご請求(検収払い)に対応しています。構成・金額によっては、お支払いの条件をご相談します。制度が使えるかどうかは、ご所属の事務局のご判断です。
納品・設置と操作説明
設置・初期設定・操作のレクチャーは当社が行います(有償)。
VR歩行デバイスの導入をお考えですか
Mecha の実機は、東京・中野坂上のデモエリアと愛媛の松山本社でご体験いただけます(いずれも事前予約制・法人・機関のお客様向け)。