01 / 10 GUIDE

VR歩行デバイスとは

仕組み・種類・活用分野を、業界の全体像から解説します

VR歩行デバイスは、VR空間内を自分の足で歩いて移動できるハードウェアの総称です。
従来のコントローラー操作では得られない身体的な没入感を実現し、
ゲーム・研究・訓練・介護福祉など幅広い分野で活用が広がっています。

SCROLL
02 / 10 01 OVERVIEW

VR歩行デバイスとは何か

VR歩行デバイス(英語: Omnidirectional Treadmill / ODT)とは、VRヘッドセットと組み合わせて使う歩行専用のハードウェアです。利用者が実際に足を動かすと、その動きがVR空間内の移動に反映されます。

コントローラーのスティック操作ではなく、自分の身体を使って歩く・走る・しゃがむといった動作でVR空間を探索できるため、従来のVR体験とは根本的に異なる没入感を実現します。

1990年代に大学の研究室で始まった技術が、2013年以降に商用化され、現在は世界中の研究機関・企業・アーケード施設・個人ユーザーに広がっています。

従来のVR移動が抱える3つの課題

01

VR酔い

コントローラーで視点が動くのに身体は静止。この感覚のずれがVR酔いの一因とされる

自分の足で歩くため、視覚の移動と身体の感覚のずれが生じにくい。感じ方には個人差がある

02

没入感の限界

指先のスティック操作では「その場にいる」感覚が薄い。身体が動いていないことで脳が現実との差を認識してしまう

身体全体を使った移動で、脳が「本当にその場にいる」と認識する深い没入体験

03

移動範囲の制約

ルームスケールVRは部屋の広さに制限される。壁にぶつかる危険もある

設置の目安(全機種共通で1台2.0m×2.0m以上)の中で、VR空間を歩き続けられる

03 / 10 02 TECHNOLOGY

VR歩行デバイスの仕組みと種類

VR歩行デバイスは技術的なアプローチによって大きく4つの方式に分類されます。
それぞれ仕組み・価格帯・歩行感覚が異なります。

主流方式 TYPE A

低摩擦プレート型

凹型の低摩擦プレート上で、専用シューズを履いて足を滑らせるように動かす受動式。モーター不要でシンプルな構造。静音性が高くメンテナンスも容易。現在市場に流通するVR歩行デバイスの大半がこの方式を採用しています。

価格帯 5万〜50万円
設置の目安 2.0m×2.0m以上(C2系・動く範囲を含む)
歩行感覚 慣れが必要(滑り歩行)
代表製品 KATVR KAT Walk C2+ Enhanced / C2 Core をはじめ、ODT製品の大半がこの方式を採用
TYPE D

ジャイロセンサー方式(足踏み型)

装着型のジャイロ/フットセンサーで足の動きを直接検知する能動式。実際にその場で足を上げて踏み出す自然な歩行動作がそのままVR空間に反映されます。専用シューズ不要・遅延10ms以下の高精度トラッキングが特徴で、ハイエンドの業務・研究用途で採用されています。

価格帯 応相談
設置の目安 2.0m×2.0m以上(Mecha・動く範囲を含む)
歩行感覚 自然な足踏み歩行
代表製品 KATVR PRO WALK Mecha(業務用フラッグシップ)
TYPE B

電動ベルト型

直交する2本のベルトコンベアがユーザーの移動を打ち消す方向に動く能動式。足裏が地面を蹴る感覚に近く、最も自然な歩行感を実現できるが、大型で高価。商用化は限定的。

価格帯 数百万〜数千万円
設置の目安 大型(数畳以上)
歩行感覚 最も自然に近い
TYPE C

リダイレクテッドウォーキング(RDW)

VR映像を微妙に回転させることで、狭い空間でも広い空間を歩いているように錯覚させるソフトウェア技術。ハードウェア不要だが広い部屋が必要。現在は大学の研究レベルが中心。

価格帯 追加費用なし
設置の目安 最低6m x 6m程度
歩行感覚 完全に自然

現在、商用製品として流通しているのは低摩擦プレート型が大半。最新世代のハイエンド機ではジャイロセンサー方式が採用されています。

04 / 10 03 PROS & CONS

VR歩行デバイスのメリットとデメリット

VR歩行デバイスは、自分の足で歩いてVR空間を移動できる道具です。その一方で、導入の前に確かめておきたい点が3つあります。置く場所、使う人との相性(VR酔い・体格)、そして費用です。置く場所と体格は、設置の目安・体格の条件と個別のご案内で、導入の前に確かめられます。VR酔いは、法人・機関のお客様なら導入前に Mecha の実機で確かめられます(事前予約制)。法人向けの機種は、ご要望をうかがったうえでお見積もりします。

メリット

01

自分の足で移動できる

スティック操作ではなく、歩く・しゃがむといった体の動きで、VR空間の中を移動できます。

ご自分の足で歩いて移動する構造のため、視覚の移動と身体の感覚のずれが生じにくい設計です。

02

ゲーム以外でも使われている

VR歩行デバイスは「ゲーム専用」ではありません。研究・訓練・施設などで使われています。

使われている分野と数字は、このページの「数字で見る VR歩行デバイスの効果」「VR歩行デバイスの活用分野」で紹介しています。

03

研究に合わせたソフトを作れる

Unity と Unreal Engine 向けの SDK(開発キット)を無償で提供しています。

移動の速さや身体の向きを、実験用のソフトに取り込めます。歩数は C2系の拡張項目で、Mecha では取れません。

デメリットと、その補い方

01

置く場所が要る

本体だけでなく、体験する方が動く範囲も含めて床のスペースを確保する必要があります。

C2系 2.0m×2.0m以上 Mecha 2.0m×2.0m以上

設置の目安は、全機種共通で1台2.0m×2.0m以上です(体験する方の動く範囲を含みます)。

電源は、Mecha では AC100〜240V に対応し、一般の100Vコンセントでご使用いただけます。

天井高は一般的な教室の高さでご利用いただけます。天井が低いお部屋の場合は個別にご相談ください。

02

VR酔い・体格に個人差がある

VR酔いの感じ方には個人差があります。使える身長にも範囲があります。

休憩を挟む運用をご案内しています。

推奨年齢は14〜60歳です(安全・運用上の推奨です)。身長の範囲は機種ごとに異なり(1.4mから)、上限を含めて機種のご提案時にご案内します。体重は130kg以下です。

C2系では身長が範囲の端に近いと、しゃがむ動作などで上下の動きがやや窮屈になる場合があります。

法人・機関のお客様は、導入の前に Mecha の実機で体験いただけます(事前予約制)。

03

費用がかかる

本体のほかに、VRヘッドセットが必要です。PC接続で使う構成では VR対応のPC、C2系を Meta Quest 単体で使う構成では KAT NEXUS と Wi-Fi 環境も必要です。法人向けの機種は、ご要望をうかがったうえでお見積もりします。

個人向けの機種を含む価格の幅は「よくある質問」に載せています。科研費・公的研究費でのご購入と検収払いは、下の「導入するときの流れ」でご案内しています。

05 / 10 04 EVIDENCE

数字で見る VR歩行デバイスの効果

研究と導入の現場から、VR歩行デバイスに関わる数字を紹介します。

3.75x

内容への感情的なつながり

VRで学んだ受講者は、教室の受講者より学習内容への感情的なつながりを3.75倍強く感じた(PwC 2020)

PwC (2022)
7.3 MET

運動強度

VR歩行デバイス上のゲームプレイは高強度運動に相当。コントローラー操作の約3.5倍

Applied Sciences (2025)
6.1 kcal

屋外歩行と同等

VR歩行デバイス上の消費カロリー(/min)は屋外歩行(5.8 kcal/min)と統計的に有意差なし

Green et al. (2024)
19本

査読付き論文

KATVR製品を使用した査読付き論文の数。査読付き19本を含む29本の研究で使用(当社集計・2026年10月/学位論文・学会発表・プレプリント等を含む)

KATVR JAPAN集計
150以上

国内の法人・機関

大学・研究機関・企業など。うち教育・研究機関は74(当社集計・2026年8月時点・請求書等の社内記録に基づく)

KATVR JAPAN集計
85%

習熟率向上

繰り返しVR訓練による業務習熟率の向上。従来研修との比較

SBS東芝
07 / 10 06 WHY KATVR

KATVRが選ばれる理由

2013年の創業以来、歩行型VR専業メーカーとして
技術開発と導入実績を積み重ねてきたKATVR。
日本国内ではKATVR JAPANが2018年から取り扱いを始め、2019年に総代理店契約を締結しました。

POINT 01

独自のハーネス構造

カウンターグラビティ機構を備えたハーネスシステムで、歩行・走行・しゃがみ・ジャンプに対応。ウエストリングのみの製品とは異なる安全設計です。

POINT 02

3層独立トラッキング

頭(HMD)・体(腰センサー)・足(光学フットセンサー)を独立して検出。前を見ながら横歩き、走りながら横の敵を狙撃、といった複雑な動作が可能です。

POINT 03

SteamVRのゲーム+無償SDK

SteamVR上でスティック移動に対応したゲームを、歩いて操作できます(PC接続時。タイトルにより設定が必要で、動作を保証するものではありません)。さらにUnity / Unreal Engine 向けの無償SDKで、研究や業務に合わせたオリジナルコンテンツの自作も可能です。

POINT 04

¥47,300から選べるラインナップ

エントリーモデルは¥47,300から。法人向けのフラッグシップ機は応相談で、用途と予算に合わせて選べます。個人向けの機種は分割払い、法人・研究機関のお客様は科研費・公的研究費でのご購入にも対応しています(制度が使えるかどうかは、ご所属の事務局のご判断です)。

08 / 10 07 FAQ

よくある質問

A
完全になくなるわけではありません。コントローラー操作では、視覚は動いているのに身体は静止しているという感覚のずれが、VR酔いの原因の一つとされています。ご自分の足で歩いて移動する構造のため、視覚の移動と身体の感覚のずれが生じにくい設計です。ただし感じ方には個人差がありますので、休憩を挟む運用をご案内しています。
A
VR歩行デバイスの用途はゲームに限りません。学術研究では認知科学・バイオメカニクス・神経科学の実験装置として、企業では安全訓練・消防訓練のシミュレーターとして、医療分野では歩行機能に関する研究の手段として活用されています。KATVR製品は、査読付き論文19本を含む29本の研究で使用されています(当社集計・2026年10月時点。学位論文・学会発表・プレプリント等を含みます)。
A
設置の目安は、全機種共通で1台2.0m×2.0m以上です(体験する方の動く範囲を含みます)。機種の大きさの差ではなく、中心に立つ方が腕を動かしても安全な広さとして見ています。天井高は一般的な教室の高さでご利用いただけます。天井が低いお部屋の場合は個別にご相談ください。
A
KATVRは、SteamVR上のコントローラーのスティック入力を、歩く動きに置き換える仕組みで動きます。そのため、PCにつないだ構成で、SteamVR上でスティックによる連続移動ができるVRゲームが対象になります。この仕組みは、Quest 単体で動くアプリには使えません。C2系を Quest 単体で使う場合(KAT NEXUS 使用)に動くのは、KAT Gateway 対応のタイトルだけです。KATVRが動作を確かめていないタイトルは手動での設定が必要で、動作を保証するものではありません。
A
推奨年齢は14〜60歳です(安全・運用上の推奨です)。
A
ウェアラブルセンサー型のKAT locoS(47,300円)から、フルサイズの低摩擦プレート型KAT Walk C2 Core(313,500円)、ハイエンドのC2+ Enhanced(451,000円)まで。法人向けのKAT PRO WALK Mechaは応相談です。個人向けの機種は分割払いにも対応しています。法人・研究機関のお客様は、科研費・公的研究費でのご購入と検収払いに対応しています(制度が使えるかどうかは、ご所属の事務局のご判断となります)。構成・金額によっては、お支払いの条件をご相談します。
A
KATVRはUnity / Unreal Engine対応のSDKを研究用途向けに無償提供しています。移動の速さ・方向転換・身体の向きなどのデータを取得・解析できます(歩数は C2系の拡張項目で、Mecha では取れません)。科研費・公的研究費での購入にも対応しており、検収払い(後払い)も可能です。
A
一般的には同じカテゴリの製品を指します。正式な学術用語はODT(Omnidirectional Treadmill = 全方向トレッドミル)です。「VRトレッドミル」「VRランニングマシン」「VR歩行デバイス」はいずれも同じ種類のハードウェアを指す通称として使われています。
09 / 10 08 HOW TO START

法人・研究機関で導入するときの流れ

機種が決まっていない段階からご相談いただけます。当社では、次の流れでご案内します。イベントや展示会で短い期間だけ使う場合は、イベント・展示会向けのレンタルもご用意しています。

STEP 01

ご相談

法人窓口のフォームからご連絡ください。担当者が、用途に合う機種とプランをご提案します。法人・大学には、最上位機の KAT PRO WALK Mecha から順にご提案しています。

STEP 02

実機の体験

Mecha の実機は、東京・中野坂上のデモエリアと愛媛の松山本社でご体験いただけます(いずれも事前予約制・法人・機関のお客様向け)。オンラインでの実機デモにも対応しています。ほかの機種は在庫状況に応じて手配しますので、ご希望の機種と日程はお早めにお知らせください。

STEP 03

お見積もり・ご契約

機種と台数に合わせてお見積もりします。科研費・公的研究費でのご購入と、納品・検収後のご請求(検収払い)に対応しています。構成・金額によっては、お支払いの条件をご相談します。制度が使えるかどうかは、ご所属の事務局のご判断です。

STEP 04

納品・設置と操作説明

設置・初期設定・操作のレクチャーは当社が行います(有償)。

VR歩行デバイスの導入をお考えですか

Mecha の実機は、東京・中野坂上のデモエリアと愛媛の松山本社でご体験いただけます(いずれも事前予約制・法人・機関のお客様向け)。