研究・開発

導入企業・学校(一部掲載)

研究・開発でKATVRをご利用いただいております使用例をご紹介致します。

二段階横断歩道

VR技術を活用して、現実世界の二段階横断歩道を仮想空間内に再現しました。この環境では、実際に歩行することにより、二段階横断の効果と有用性を直接評価することが可能です。この手法により、現実世界の交通状況をVR内で忠実に模倣し、歩行者の安全と利便性を向上させるための具体的な解決策を検証しました。

(協力:静岡理工科大学様)

メタバース活用

コロナ禍で始まった大学のメタバース内覧は、受験生と在学生のリアルタイムな交流を可能にし、遠方の受験生の参加もしやすくなった。ポストコロナでは対面とオンラインのハイブリッド内覧を継続し、多様なニーズに応える新たな形として注目されている。

(協力:多摩大学様)

最新機種 紹介

その他の想定される活用用途

心理学的アプローチ

現実での再現が難しい特定の状況下での人間の心理を理解するため、仮想空間を活用します。この仮想環境では、実際に存在するようなシチュエーションを詳細に模倣し、歩行を伴うリアルな没入体験を提供します。このような体験を通じて、人々がそのような状況下でどのように感じ、反応するかを分析します。これにより、現実に準備するのが困難なシチュエーションにおける人間の心理をより深く調査することが可能になります。

防災訓練、安全教育の基礎研究

歩行型VR技術を活用して、防災訓練や安全教育に関する基礎研究を行います。この方法により、参加者はより深い没入感を体験し、リアルな環境下での反応や行動をシミュレートできます。この没入感は、訓練や教育の効果を高めると考えられています。VRを使った研究を通じて、防災訓練や安全教育の方法がどのように実際の危険状況への対応能力を向上させるかを分析し、その効果を検証します。

環境建築デザイン

BIMやSIMなどの建築関連3Dデータ技術をさらに進化させ、建築プロジェクトの初期段階における重要な側面を探求します。具体的には、建物の外観や内部の雰囲気、さらには設置される部材の間隔などを、実際に歩きながら体感するような方法で検証することです。このアプローチにより、設計段階での詳細なチェックと調整が可能となります。また、公園や都市のような広範な環境デザインにおいても、この技術を活用します。事前に仮想空間でのシミュレーションを行うことで、潜在的な問題点を特定し、より洗練されたデザインに繋げることができます。これらの取り組みは、建築と環境デザインの未来を形作る重要なステップとなるでしょう。

運動・リハビリテーション分野

VR技術を用いたリハビリテーションが患者の回復過程にどのような影響を及ぼすかを、詳細に調査し分析します。特に、VRトレッドミルを活用した新しいリハビリテーション手法の開発に焦点を当てます。このアプローチは、患者が仮想環境の中で歩行を行うことで、身体的な回復だけでなく、精神的なモチベーションの向上も図ることができます。このような没入型のリハビリテーションは、従来の方法と比較して、より効果的な回復を促す可能性があります。



KATWALK を活用した研究

 VR トレッドミル「KATWALK」は、世界中の研究者に活用されています。以下に、KATWALK を使用した近年の研究実績のいくつかをご紹介します。

1. 防災:津波避難行動分析とVRトレッドミルの有効性
研究概要: KATWALKを用いて津波避難行動を分析し、実際の人間の避難行動により近い自然な動作の再現を実現。特に、視線と移動方向を独立して操作できる特徴により、前進しながら周囲を確認するなど、現実の避難行動に即した動作が可能となり、より正確な避難行動分析を実現できることを確認した。

研究成果:

  • 視線と移動方向の独立した操作により、実際の人間の自然な避難行動をより正確に再現
  • 歩行中でも周囲の状況(バルーン型避難標識等)を容易に確認可能な、現実に即した視認性を実現
  • 避難完了率においてハンドコントローラと同等以上のパフォーマンスを実証
  • 徒歩での避難の身体的な体験を通じた防災意識向上への効果を確認

Mikami, Y., Sato, S., Narita, S., Chiba, S., Okamoto, T., & Imamura, F. (2024). "津波避難行動分析における歩行型VR活用の可能性:バルーン型避難標識の誘導効果に着目して" [Tsunami Evacuation Behavior Analysis with Walking Platform in Virtual Reality: Focusing on the Guidance Effect of Balloon Type Evacuation Signs]. 地域安全学会論文集 [Journal of Social Safety Science], No. 45, pp. 83-93.




2. 視覚に障がいのある子どもたちの支援:オリエンテーションとモビリティトレーニング

研究概要: KATWALK を用いて、視覚に障がいのある子どもたちが安全に白杖の使用と単独歩行能力を習得できる 音響によるVR トレーニングシステムを開発。

研究成果: 視覚に障がいのある子どもたちの不安を軽減し、効果的なトレーニングを少人数で提供可能に。

Seki, R., Shimomura, Y., Asakawa, N., & Wada, H. (2023). "Development of Orientation and Mobility Training System for Visually Impaired Children Using VR." Studies in Health Technology and Informatics, 306, 527-534. https://doi.org/10.3233/SHTI230673



3. 都市計画:リアルタイム歩行者流シミュレーション

研究概要: KATWALK を活用し、VR 空間内で実際の歩行者と NPC が共存する高速レンダリングシステムを開発。

研究成果: 人流モデルと NPC の 3D モーション計算を効率化し、リアルタイムシミュレーションを実現。

Sakurai, A., Ikegami, Y., & Yamamoto, K. (2023). "VR Pedestrian Flow Simulator by Real-time 3D Motion Reconstruction for Multiple Characters." In M. Okada (Ed.), Advances in Mechanism and Machine Science. IFToMM WC 2023. Springer, Cham. https://doi.org/10.1007/978-3-031-45770-8_27

4. 訓練:意思決定パフォーマンス向上

研究概要: KATWALK と触覚フィードバックを統合した VR フレームワークが、複雑な探索・射撃シミュレーションにおける意思決定に与える影響を評価。

研究成果: プレゼンス、没入感、エンゲージメントの向上を確認。

Rao, A. K., Bhavsar, A., Roy Chowdhury, S., Chandra, S., Negi, R., Duraisamy, P., & Dutt, V. (2024). "Evaluating the efficacy of a haptic feedback, 360° treadmill-integrated virtual reality framework and longitudinal training on decision-making performance in a complex search-and-shoot simulation." In Artificial Intelligence and Machine Learning for Multi-Domain Operations Applications VI. Proc. SPIE 13051. https://doi.org/10.1117/12.3017333

5. 災害対策:避難行動モデリング

研究概要: KATWALK を使用して VR 環境での避難行動を分析し、明確性-強度モデルを構築。

研究成果: 実際の火災事例と一致する結果を得て、災害時の人間行動理解に貢献。

Deng, K., Xing, S., Wang, G., Hu, X., & Chen, T. (2023). "A clarity-intensity model for evacuation behaviour: A VR study and comparison with a real-world case." Journal of Environmental Psychology, 88, 102034. https://doi.org/10.1016/j.jenvp.2023.102034

6. 高齢者支援:空間認識能力向上

研究概要: KATWALK を利用して高齢者向けのバイクベース VR ロコモーション「SilverCycling」を開発。

研究成果: 高齢者の空間認識能力向上と VR アクセシビリティ改善の可能性を確認。

Chen, Q., Wu, Z., Liu, Y., Han, L., Li, Z., Kan, G. L., & Fan, M. (2024). "SilverCycling: Exploring the Impact of Bike-Based Locomotion on Spatial Orientation for Older Adults in VR." arXiv:2407.06846 [cs.HC]. https://doi.org/10.48550/arXiv.2407.06846

7. ロボット工学:社会的行動モデリング

研究概要: KATWALK を用いた VR 環境で、公共の場での他者との接近と回避行動をモデル化。

研究成果: コミュニケーションロボットの社会的行動設計への応用可能性を示唆。

Sakamoto, T., & Takeuchi, Y. (2022). "Modeling Approach and Avoidance Behavior with Social Considerations for Others in Public Situations." In M. Kurosu (Ed.), Human-Computer Interaction. Technological Innovation. HCII 2022. Lecture Notes in Computer Science, vol 13303. Springer, Cham. https://doi.org/10.1007/978-3-031-05409-9_44


KATWALK は、教育、都市計画、訓練、災害対策、高齢者支援、ロボット工学など、幅広い分野で活用されることが期待されています。



KATWALK開発環境

 KAT VR 開発環境

システム概要

KAT VR トレッドミルを活用した VR アプリケーション開発には、KAT INDUSTRY ソフトウェアと KAT SDK を使用します。この組み合わせにより、没入感のある VR 歩行体験を実現できます。

KAT INDUSTRY ソフトウェア

KAT INDUSTRY は KAT デバイスと SteamVR などの VR 環境を接続するコアソフトウェアです。

主な機能:
- VR HMD および KAT デバイス間のインターフェース
- 歩行速度・反応感度の基本調整
- 既存 VR アプリでの簡易導入(コントローラーマッピング機能)
- アプリケーション別の設定保存とランチャー機能
- KAT SDK を使用したアプリケーションのランタイム環境



- KAT INDUSTRY 3.1.7: 最新バージョン、ダッシュ・ジャンプ機能など拡張機能対応

KAT SDK

KAT SDK は VR トレッドミルを Unity/UE で制御するための開発ライブラリです。

最新バージョン


- Unity 用: 1.9.2
- Unreal Engine 用: 1.3.2

主な機能

- デバイス情報の取得(接続状況、シリアル番号、使用状態など)
- 歩行状態の取得(本体回転、移動ベクトル、バッテリー情報)
- 高度なキャリブレーション(HMD と腰の向きの差を補正)
- 振動・LED 制御(対応機種のみ)
- 機種別拡張データ(足の接地状況、動作タイプなど)
- 切断検出とイベントハンドリング

特徴

- トレッドミル特有の「腰方向 = 進行方向」の自然なナビゲーション
- 足の接地状態など細かな動作検知
- 機種ごとの拡張データを活用した高度な体験設計

 システム要件とセットアップ

要件:
- Windows 10/11
- SteamVR 互換環境(PCVR の場合)
- Unity/UE の開発環境

セットアップ手順
1. KAT INDUSTRY ソフトウェアを管理者権限でインストール
2. 対応する SDK をプロジェクトに導入
3. デモシーンを参考に実装を開始
4. OpenXR 環境での開発(推奨)

 研究開発サポート

最先端の VR インタラクション研究には、KAT SDK が提供する詳細なデータが活用できます:

- 足の接地状況のリアルタイム検知
- 左右足の個別移動ベクトル取得
- ユーザーの身体姿勢と移動方向の分離制御
- 触覚フィードバックによる体験強化
(機種によって異なります)